国際デジタル人文学会議DH2026(韓国・大田)にて研究発表を行いました

8/3/2026

DH2026会場にて田中一孝・岩田直也・小川潤

2026年7月27日から31日にかけて、韓国・大田(テジョン)の大田コンベンションセンターにて、デジタル人文学分野を代表する国際会議DH2026(主催:Alliance of Digital Humanities Organizations/Korean Association for Digital Humanities)が開催されました。今年のテーマは「Engagement」。421件の口頭発表と94件のポスターが111のセッションで発表され、そのうち89のセッションではAI翻訳が提供されるという、テーマにふさわしい大会となりました。

Humanitextプロジェクトからは、以下の3件を発表しました。

ショートペーパー2件

From Static Retrieval to Generative Reception: User Interaction Patterns in an LLM-Integrated Japanese Literary Archive(田中一孝・小川潤・岩田直也、7月29日) Humanitext Aozoraに寄せられた実際の質問ログを分析し、LLMを組み込んだ文学アーカイブにおいて利用者の関わり方が「静的な検索」から「生成的な受容」へとどう変化しているかを報告しました。

DH2026で発表する田中一孝。スクリーンに「From Static Retrieval to Generative Reception」のタイトルスライド

From Tree to Vector: A CTS-Compliant Chunking Strategy for Preserving Citation Integrity in RAG Systems(岩田直也・田中一孝・小川潤、7月31日) TEI/XMLの木構造とベクトル検索の間にある溝をどう埋めるか。Humanitext Antiquaの基盤である、古典学の引用規範(CTS)に準拠したチャンク分割アルゴリズムを提案し、「出典の完全性」を保ったままRAGを実現するデータ設計を示しました。

ポスター発表

Visualizing Classical Narratives via RAG-Enhanced AI and Iterative Video Synthesis(岩田直也・齋藤千枝歌・鈴木祐希・田中一孝・小川潤) 映像詩『ANIMA ANTIQUA』の制作を通じて得られた、RAGによる出典検証と映像生成AIを組み合わせて古典の物語を「作りながら学ぶ」枠組みを紹介しました。名古屋大学の学生メンバー2名との共同研究です。

アジアでの開催となった今大会では、韓国・日本・中国のデジタル人文学コミュニティの発表も多く、東アジアの古典テキストをめぐる研究者たちと直接議論できたことは大きな収穫でした。岩田の発表と質疑、ポスターセッションの様子は、参加記ブログ「DH2026参加記:AI翻訳と、研究基盤をつくるということ」でも紹介しています。