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川本 悠紀子

共同研究者

名古屋大学デジタル人文社会科学研究推進センター・大学院人文学研究科 准教授

King's College London博士(古典学)。古代ローマの建築史・文化史を専門とし、特に住宅・庭園・ランドスケープの研究に取り組む。考古学的知見と文献史料を組み合わせた多角的なアプローチを特徴とする。碑文のデジタル化プロジェクトEpiDocや天文学的現象を古典文献から繙くSPinACHプロジェクトにも参加。Humanitextプロジェクトでは、古典文献に基づく星空解説を構築するHumanitext Planetarium、およびローマ法の法典テクストを対象としたDigital Digestaの研究に携わる。2025年名古屋大学女性研究者トップリーダー顕彰、2016年ローマ賞(British School at Rome)受賞。

西洋古典学古代ローマ建築史庭園史・ランドスケープデジタル・ヒューマニティーズ

Humanitextプロジェクトでは、以下の研究に携わっています。

  • Digital Digesta

    • Digital Digestaは、ユスティニアヌス帝の『学説彙纂(Digesta)』のMommsen版をAIベースのOCRでデジタル化するプロジェクトです。『学説彙纂』はローマ法の重要文献であり、近代民法の基礎でもあります。標準的な学術版であるMommsen版は複雑な活字構造(ラテン語本文・注釈・批判装置)を持ち、従来のOCRでは十分な精度が得られませんでした。本プロジェクトでは、マルチモーダル大規模言語モデル(mLLM)を用いた高精度のOCRシステムにより、この課題に取り組んでいます。西洋古典学の専門知識を活かし、テキストの校訂やローマ法の文化史的文脈の整理に貢献しています。2026年2月のDigital Digesta Workshopでの発表に続き、同年3月にはMax Planck Institute for Legal History and Legal Theoryのオンラインセミナー、および民法史研究会で「Digital Digesta:AIで紐解く法の源流」と題した発表を行いました。
  • Humanitext Planetarium

    • 日本のプラネタリウムでは、星座の解説に古代ギリシア・ローマの神話や文学作品を織り交ぜる独自の文化が発展してきました。しかし、関連する西洋古典文献の日本語訳が十分に進んでいないため、原典に依拠しない不正確な情報が広まり、解説の中に正確さを欠く内容が含まれるという課題が生じています。Humanitext Planetariumは、この問題に取り組むプロジェクトです。具体的には、エラトステネスの『カタステリスモイ』、マニリウスの『アストロノミカ』、ヒュギヌスの『天文詩』など、天文学に関連した古代ギリシア語・ラテン語の著作の原典テクストをデジタル化し、Humanitextに連携させることで、星座や天文に関する古代の知見を原典に基づいた正確な形で提供することを目指しています。西洋古典学と天文学の分野融合を通じて、プラネタリウムでの解説や教育プログラムの質の向上に貢献する研究を西洋古典学の大学院生・学部生の協力のもと実施しました。